top of page

久しぶりの筆頭論文

  • 執筆者の写真: 保全生物学研究分野
    保全生物学研究分野
  • 2020年10月29日
  • 読了時間: 2分

更新日:2021年1月17日

久しぶりに筆頭論文がアクセプトになりました!嬉しいですね。どんな内容の論文なのか、簡単に紹介しようと思います。

本論文はサクラマスという魚類を用いた研究内容になります。魚を用いる良い点は哺乳類に比べメスが卵をたくさん持っていること(サクラマスは2000個ほどの卵!)、そして体

外で人工授精を容易にできることから、簡単に半同胞集団を作成できるところにあります。ちなみに半同胞集団とは、母親(あるいは父親)は同じだけど父親のみ(あるいは母親のみ)違う集団のことを指します。このような集団を用いることで、子の表現型の違いが得られた場合、母親が同じであるわけですから「父親の影響である」と考えやすいという利点があります。


で、この論文では半同胞集団を用いて父親の生活史や年齢が子の体サイズや成長に影響しているかどうかを調べました。これまでにも多くの研究で子の成長に対する父親の遺伝性が示されてきましたが、生活史初期に影響しているのかはよくわかっていませんでした。それに対し本研究では、ふ化して卵黄を吸収した頃に稚魚の体サイズを測ってみると、既に父親の年齢や生活史によって子の体サイズが違うことを明らかにしました。




このことを最初に見つけた時に私は驚きました。なぜならば、同じ母親(すなわち同じ大きさの卵)から生まれてきた子供なので、ふ化した直後は同じ体サイズであろうと予測していたわけです。しかし、実際には予想に反して、生まれたときから体サイズに違いがあったこと、さらには複数河川でも同様の傾向があったことに驚いたわけです。

その生活史初期における体サイズの違いは受精卵の時期の代謝率が関係しているのではないかということも突き止めました。実は、代謝率と成長との関連性は、私の博士論文の主題でもありましたので、原点回帰したような不思議な縁を感じる論文でありました。詳細はPDFが出たら、こちらに添付したいと思います。機会がありましたら、是非とも読んでみてください(まだゲラも来てません・・・)。

長い間、筆頭論文が掲載されず少々焦っておりましたが、これを機に精力的に頑張っていきたいですね(意気込みだけに終わらないようにしないと・・・)。 取り急ぎご報告まで


https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/eff.12584





Comments


© 2018 by the Laboratory of Conservation Biology in NVLU. Proudly created with Wix.com

bottom of page